60th Anniversary
大人になった時の一足目の革靴として、
女性への第一歩をこの靴と一緒に
踏み出して欲しいことを表現。
葵わかな
女優
1998年、神奈川県生まれ。2009年に俳優デビュー。
17年にNHK連続テレビ小説「わろてんか」でヒロイン役に抜擢。
22年2月より、東京芸術劇場プレイハウスにて上演される舞台『冬のライオン』に出演予定。
大人。フォーマル。かっちり。革靴にそんなイメージを抱いていた葵わかなさん。そこで、23歳の自分が今すぐ履きたくなる革靴をと想像を働かせ、思い浮かんだのがキュートでファッショナブルなサンダル。「裸足でも、ソックスを合わせても楽しめる革のサンダルがあったら嬉しい!」。そんな希望をもとに完成したのがウィングチップをベースにしたカーキ色のサンダルシューズ。革靴の入門にもふさわしい靴のテーマは「LADY」。履くだけで笑顔になれそうなこの靴があれば、大人への階段も軽やかに駆け上がれそう!
素足でも履ける普段使いの革靴が
欲しかった!
―どんな発想からこの靴のイメージが湧いてきたのですか?
革靴=正式な場所に履いて行く大人の靴というのが私の中のもともとのイメージでした。自分にはちょっと縁遠いような。それで、せっかく作っていただく、今、すぐにでも履けるものをと思い浮かんだのがサンダルです。ちょうど、足全体が覆われていながら、抜け感のあるグルカサンダルにも興味があって、ネットでたまに見ていたんです。本来、サンダルってカジュアルなものなのですが、革だったら、子供っぽくならずにきちんと感も出せそう。しかも、素足でも靴下でも合わせられるオールシーズン履きこなせる、靴がいいなと。眺めておしまいじゃなくて、毎日がんがん履ける、普段使いOKな靴をお願いしようと思いました。

深みのある乾いた
グリーンのカーキ色がお気に入り
―ベースとなっているのは定番靴でもあるウィングチップなんですね。
そうなんです。私自身、クラシカルなデザインの靴はもともと好きで、メリージェンはよく履いていて。今回は、同じようなクラシカルな靴でも模様が特徴的なウィングチップをベースにそこから抜け感のあるサンダルっぽいデザインを起してもらうことにしました。それと、もうひとつこだわったのが色。革靴というと黒の印象が強かったのですが、REGALさんのアトリエで革の色見本を拝見したとき、想像以上にいろんな色があることに驚きました。しかも、その中に私の大好きなカーキ色を見つけて。深いんだけれど、ちょっと乾いたようなグリーン。絶対にこの色で! とそこは推しました(笑)

名づけるとするなら
「楽しい日曜日サンダル♬」
―完成した靴を見た印象はいかがでしたか?
カジュアルさもあるのですが、ゴツっとしたカッチリ感が大人っぽくて逆におしゃれ! 甘いテイストのワンピースにも似合いますよね。それと、ウィングチップの特徴でもある装飾の穴が貫通してるのも高ポイント。通気性も抜群ですし、見た目の抜け感もよし。正統なイメージの革靴でもこんなに遊べるものなのかと驚きました。さらに驚いたのは、履き心地のよさ。素足で履くことを考慮して、本当に革なの? とびっくりするくらい柔らかいんです。これなら、街や公園など、いろんな場所に履いて出かけたくなります。私が名づけるとするなら…「楽しい日曜日サンダル」。寒くなったら靴下を履いて、色や柄の組み合わせで気分を変えるのもよさそうです。

※各著名人のコンセプトシューズは非売品です。

トラディショナルな靴が
見事にアップデート
―ベースには王道のウィングチップが使われました。
ウィングチップの華やかな装飾がわかなさんのキュートな笑顔やフェミニンな雰囲気にもぴったりです。そうしたもともとの装飾を活かし、わかなさんが気になっていたというグルカサンダルをヒントに、つま先とかかと、甲部分はクローズにし、サイドは開放するなどの立体的な構造を考えました。さらに、ウィングチップの特徴でもあるメダリオン(先端部分の装飾)やパーフォレーション(革生地の切り返しに沿った装飾)に施された装飾の穴をすべて貫通させて抜け感もプラス。すべて職人の手作業なので時間も労力も要しましたが、透かし彫りのように浮かび上がる装飾がアクセントになり、大正解! わかなさんのおかげで、トラディショナルな革靴の概念をアップデートすることができ、私自身、とても勉強になりました。

優しい履き心地の革製サンダル
―“普段履きできる”というオーダーにはどう取り組みましたか?
ストレスを感じない履きやすさにはもっとも力を入れました。とくに大切なのは素材選び。今回は、素足でも履けるサンダルのため、かかとの部分はもちろん、足を覆う部分すべて、肌あたりの優しい柔らかい革を選びました。とは言っても、見た目は意外とカッチリとしたフォーマルな印象。わかなさんも足を通して初めて「こんなに柔らかいとは思いませんでした!」と驚いていらっしゃいました。他にも、直接肌に触れる革の裏地やインソール素材もクッション性のあるものをセレクト。きちんと感がありながら優しい履き心地の一足だと思います。
デザイナー 柴山 仁